建築家と家づくり 好きに暮らそう SuMiKa
家づくり相談

回答受付中

擁壁上の手すり

現在、新築住宅を計画しており、敷地は高さ約190cmの擁壁の上に位置しています。安全対策として、この擁壁の上に80cm程度の手すりを設置したいと考え、外構業者に相談したところ、「擁壁の上に手すりを設けると違法建築にあたる可能性がある」と指摘を受けました。

ただ、手すり自体は安全性向上のためのものであり、建築基準法上の扱いや、いわゆる「二重擁壁」との関係がよく分からず、専門的な判断をいただきたいと思っております。

新造のブロック擁壁をコア抜きして、その上に安全確保の目的で手すりを設けた場合、違法建築に該当するのでしょうか。もしくは、擁壁とは独立して擁壁の内側(敷地側)に手すりを設ける必要があるのでしょうか。

お忙しいところ恐れ入りますが、ご見解をお伺いできれば幸いです。

専門家の回答

1件

2025年 6月19日
おぎの設計室の荻野と申します。

業者さんがおっしゃっている「違法建築」というのは、主に構造上の観点からのご指摘かと思います。
一般的にコンクリート擁壁を新設する際に、フェンスや手すりを設置する予定がある場合は、設計段階でその荷重を構造計算に含め、施工時には天端の鉄筋を連続させず、あらかじめスリーブ(穴)を設けておきます。

一方で、後からフェンスや手すりを設置する場合は、構造計算にその荷重が含まれていないと問題になるだけでなく(実際には荷重自体は大きくはありませんが)、擁壁の天端にスリーブを追加で開ける際に鉄筋を切断することになり、鉄筋の被り厚さ(保護コンクリートの厚み)が不足するなど、構造的な安全性が損なわれる恐れがあります。
(なお、あらかじめスリーブを設ける場合も鉄筋を切断する点は同じですが、その際には切断部分を補強筋で補うなどの対策を講じたりします。)

1.9mのブロック擁壁とのことですので、おそらく型枠ブロックなどの既製品をご使用かと思います。その場合、天端に手すりやフェンスを設置できるかどうかは、使用されている製品の施工要領書に明記されていますので、それに従った施工でなければ基本的には設置できません。
これは「違法建築」というよりも、メーカーが定めた安全基準を満たしているかどうかの問題ですが、結果として基準を満たさない場合は法令違反とみなされる可能性もあります。(実際には現場判断で施工されてしまっているケースもあるかとは思います)

また、擁壁自体が行政などの検査の対象となっている場合には、後からのスリーブ空けは違法行為とみなされる可能性が高いです。

特に落下防止を目的とした手すりの場合は、スリーブを深く入れる必要があり、鉄筋を2段程度切断することもあります。ブロック積擁壁ではもともと縦方向の鉄筋が少ないため、上部の鉄筋の連続性が損なわれると構造的に弱くなると考えられます。
私自身が設計監理を行う際には、施工要領に沿えない状況で後付けの手すりを設置する場合は、擁壁の内側(敷地側)に独立基礎を設けて手すりを設置する方法を提案します。

ご参考になれば幸いです。
矢印
この専門家のプロフィールを見る
矢印
この専門家に資料をリクエスト
この家づくり相談「擁壁上の手すり」をfacebookでシェアする

関連する家づくりカテゴリー

おすすめ

同じカテゴリーの他の相談

悩みや疑問を専門家に聞きたい方はこちら

作りたいものが決まっている方はこちら